投稿

ヤマの形

イメージ
秋田県角館の祭礼である飾山囃子(おやまばやし)の山車(ヤマ)の曳きまわしは,ヤマ同志を激しくぶつけ合い,さらにはヤマの前部フレーム(舳先)を押し付け合ったまま前輪を浮かし,ぶつけ合いを継続したまま,それぞれのヤマと,それを操作する人々やそれに搭乗してお囃子を演奏している人々の“力・強さ・プライド”を競い合うゲーム性の高い祭礼の一つである。 The pulling of the floats ( oyama ) of the Oyamabayashi Festival in Kakunodate, Akita Prefecture, is a very famous traditional Japanese festival in which the floats compete with each other by raising their front wheels and repeatedly bumping into each other.  This festival has a highly competitive character, in which the "power, strength and pride" of each  oyama , the people operating it and the people playing the musical accompaniment on board are pitted against each other while they continue to bump into each other. このゲームに勝つために,継続的な知恵や工夫の絞り会いがヤマの形に蓄積されていると考えられる。丁内組織と若者組織の作戦の上にヤマが町中を動き、ぶっつけられるので、その構造は頑丈でなければならない。民俗学的調査においても,町の大工を中心に形に改良が加えられてきたことが明らかになっている。 In order to win this game, the continuous squeezing of wisdom and ingenuity seems to have been accumulated within the very form of the  oyama . It is e

イカドウの形

イメージ
イカ籠(イカドウ)の形  Ikado Fishing Device for Squid Fishing  千葉県木更津の金田漁港では複数のイカドウ形態を見ることができます。民具形態に興味を持つ人にとっては宝庫のようなエリアでしょう。それらの形態を特徴付けるメインフレーム(アーチ状フレーム)が竹製のこの中では最古と思われる“ 初代”イカドウ,その竹フレームが金属に置き換えられても開閉・折り畳み機構は初代と同じである2代目と,すべてのフレームが剛結合された3代目が集まっています。  At Kaneda fishing port in Kisarazu, Chiba Prefecture, a device known in Japanese as an  ikado , which is a kind of traditional squid fishing used in Tokyo Bay, can be seen. This area, along with other local areas where historical artifacts have survived, is a treasure trove for people interested in folk tool forms.   There are three types of  ikado  : the first generation, whose main frame is made of bamboo, and which is considered to be the oldest of these; the second generation, in which the bamboo frame of the first generation has been replaced by metal but whose opening and folding mechanism is the same as that of the first generation; and the third generation, in which all the frames are made of metal and are rigidly connected to each other so

握りばさみの形:Shape of a traditional scissors The English version is under construction.

イメージ
   上図は鎌倉政宗の握りはさみからトレースした平面図と側面図です。この図面から破線のところの断面形状を確認することができます。この断面の分布の面白さは,歯のつけ根辺りでは刃面方向に比較的大きな断面二次モーメントが配置されています。それより右側の断面は正方形に近く,裁断の際に,両刃で挟み込まれたものからの反力による曲げに対する対抗力が、刃面方向と、それと直交する法線方向の両方向に同程度にあることが読み取れます。そしてさらに右側の断面は,柄は刃面方向には相対的に曲がりやすくなりつつ,その法線方向には曲がりにくくなるように材料が配置され,刃先の噛み合いの安定性を生む方向にあるように思われます。そして柄の最右翼。側面図では最も幅広く展開している部分の厚みは最も薄くなっており,とってもしなりやすい材料配置になっていることが分かります。 この形は,しっかり刃先を安定する機能と切る動作を材料の弾性を活かして滑らかかつシンプルにサポートする機能の2つの機能を同一の材料で一体化するところに面白さがあります。正確には,この形へ整えていく際の鍛造過程,部分におけるその違いへの配慮も必要となると思われますが,まずは断面二次モーメントの分布に合理性が見られると言っても間違いはないようです。